ITパスポート 令和6年度 公開問題 問9 について解説します。
問題
問9 企業の戦略立案やマーケティングなどで使用されるフェルミ推定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 正確に算出することが極めて難しい数量に対して、把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法である。
イ 特定の集団と活動を共にしたり、人々の動きを観察したりすることによって、慣習や嗜好、地域や組織を取り巻く文化を類推する手法である。
ウ 入力データと出力データから、その因果関係を統計的に推定する手法である。
エ 有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバックを行うことによって、ある分野の将来予測に関する総意を得る手法である。
選択肢 ア : フェルミ推定
選択肢アの「正確に算出することが極めて難しい数量に対して、把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法」は「フェルミ推定」です。
フェルミ推定とは、直接的に数値を得るのが難しい問題に対して、既知の情報や常識的な前提をもとに、論理的な分割と近似を重ねて概算を導く方法です。例えば「東京にピアノの調律師は何人いるか?」のように、正確なデータが存在しない、あるいは調査が困難な数値に対して、仮定と論理的な推論を用いて概算を導き出します。
選択肢 イ : エスノグラフィー
選択肢イの「特定の集団と活動を共にしたり、人々の動きを観察したりすることによって、慣習や嗜好、地域や組織を取り巻く文化を類推する手法」は「エスノグラフィー」です。
エスノグラフィーとは、特定の集団や社会に参与観察することで、その文化、行動、価値観、慣習などを理解・記述しようとする質的調査手法です。もともとは文化人類学の分野で発展した方法ですが、現在ではビジネス、マーケティング、教育、HCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)など、さまざまな分野で応用されています。
選択肢 ウ : 因果推論
選択肢ウの「入力データと出力データから、その因果関係を統計的に推定する手法」は「因果推論」です。
因果推論とは、入力データ(原因)と出力データ(結果)を基に、その間に存在する因果関係を統計的に推定する手法です。単に相関関係を調べるのではなく、「原因が結果をどのように引き起こすか」を明らかにしようとするアプローチです。
選択肢 エ : デルファイ法
選択肢エの「有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバックを行うことによって、ある分野の将来予測に関する総意を得る手法」は「デルファイ法」です。
デルファイ法とは、専門家や有識者のグループに対して繰り返しアンケート調査を行い、その結果をフィードバックしながら、あるテーマに関する総意を得る手法です。この方法は、特に将来予測や不確実性が高い問題において、専門家の意見を集約し、合意を形成するために使用されます。
解答
以上により、この問題の解答は「ア」になります。