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ITパスポート 令和6年度 公開問題(過去問) 問80 解説

ITパスポート 令和6年度 公開問題(過去問) 問80 について解説します。

問題

問80 OSS(Open Source Software)に関する記述として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

a OSSを利用して作成したソフトウェアを販売することができる。
b ソースコードが公開されたソフトウェアは全てOSSである。
c 著作権が放棄されているソフトウェアである。

ア a
イ a, b
ウ b, c
エ c

解説・解答

OSS(オープンソースソフトウェア)とは、以下のような特徴をもつソフトウェアです。

項目内容
ソースコード無償または有償で公開されており、誰でも見ることができる
利用誰でも自由に使用できる(個人利用も商用利用も可能)
改変・再配布改変・再配布も自由に行える(ただしライセンスの条件に従う必要あり)
著作権著作権は保持されたままであり、放棄されていない

それぞれの記述について確認します。

a: OSSを利用して作成したソフトウェアを販売することができる。
この記述は正しいです。OSS(オープンソースソフトウェア)は、「ソースコードを誰でも利用・改変・再配布できる」ことを許可しているソフトウェアです。商用利用も制限されていないため、OSSを使って作成したソフトウェアを販売することは合法かつ認められています。ただし、OSSライセンス(例:GPL, MIT, Apacheなど)に従った配布義務(ライセンス文書の添付やソースの公開など)は発生します。たとえばGPLの場合、自分で改変したものを再配布する場合にはソースコードも公開しなければならないという義務があります。
(販売の具体例)
・Red Hat Enterprise Linux(RHEL): LinuxカーネルというOSSをベースにしながら、商用OSとして販売。
・GitLab: OSSとしても配布されているが、エンタープライズ向けには有償版も提供。

b: ソースコードが公開されたソフトウェアは全てOSSである。
この記述は誤りです。ソースコードが公開されている=OSS とは限りません。OSSはソースコードの公開だけでなく、改変・再配布・商用利用が自由であることが条件です。
「ソースコードの閲覧や参照は可能だが、改変や再配布は禁止」といった制限がある場合もあり、それはOSSではありません。
(OSSではない具体例)
・教育目的のサンプルコード: ソースコードは公開されていても、改変・再配布は禁止されている場合があります。
・開発者が独自に公開している商用ソフトの体験版ソース: 閲覧は可能ですが、商用利用や改変・再配布は禁止されています。
・リファレンス実装(参考実装): 標準規格の理解のためのサンプルであり、自由な利用は制限されることがあります。

c: 著作権が放棄されているソフトウェアである。
この記述は誤りです。OSSは「著作権を放棄しているソフトウェア」ではありません。OSSは著作権を保持したままライセンスを通じて利用を許可しているという形態です。OSSの開発者は著作権を持ったまま、「こういう条件で自由に使っていいよ」とライセンスを提示しています。(これがライセンス契約です。)
著作権を放棄したソフトウェアは「パブリックドメイン(Public Domain)」と呼ばれ、OSSとは概念的に異なります。

以上により、この問題の解答は「ア」になります。