基本情報技術者試験 令和6年度 科目A 公開問題(過去問) 問8 について解説します。
問題
問8 LAN 間接続装置に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア ゲートウェイは、OSI 基本参照モデルにおける第1〜3層だけのプロトコルを変換する。
イ ブリッジは、IPアドレスを基にしてフレームを中継する。
ウ リピータは、同種のセグメント間で信号を増幅することによって伝送距離を延長する。
エ ルータは、MACアドレスを基にしてフレームを中継する。
解説・解答
LAN間接続装置とは
LAN間接続装置とは、ネットワーク同士を接続したり、通信の範囲や速度・効率を改善するための機器のことです。それぞれの装置は OSI基本参照モデルのどの層に対応するか によって役割が異なります。
| 装置名 | 対応層(OSI参照モデル) | 主な識別情報 | 主な機能・特徴 |
|---|---|---|---|
| リピータ (Repeater) | 物理層(第1層) | なし(信号レベル) | 信号を再生・整形して伝送距離を延長する。衝突ドメインを分けない。 |
| ブリッジ (Bridge) | データリンク層(第2層) | MACアドレス | フレームを中継し、宛先MACを見て転送先を決める。衝突ドメインを分ける。 |
| スイッチングハブ (L2スイッチ) | データリンク層(第2層) | MACアドレス | 高速なブリッジ。ポートごとに転送テーブルを持ち、同時通信を可能にする。 |
| ルータ (Router) | ネットワーク層(第3層) | IPアドレス | IPアドレスに基づいてパケットの経路を選択。ブロードキャストドメインを分ける。 |
| レイヤ3スイッチ (L3スイッチ) | ネットワーク層(第3層) | IPアドレス | ハードウェア処理によってルータより高速に転送。VLAN間通信に利用。 |
| ゲートウェイ (Gateway) | 第4層〜第7層(上位層) | プロトコル変換 | 異なるプロトコル間の変換。例:メールゲートウェイ、VoIPゲートウェイなど。 |
それぞれの選択肢について確認します。
ア: ゲートウェイは、OSI 基本参照モデルにおける第1〜3層だけのプロトコルを変換する。
ゲートウェイは、上位層(L4〜L7を含む)まで跨るプロトコル変換も担える最上位の中継装置の総称です。
(例)メールゲートウェイ、VoIPゲートウェイなどはアプリ層のプロトコル間変換まで行います。
よって、「第1〜3層だけ」という記述は不適切です。
イ: ブリッジは、IPアドレスを基にしてフレームを中継する。
ブリッジ/L2スイッチはデータリンク層の装置です。中継判断はMACアドレスに基きます。IPアドレスで経路選択するのはルータの役割です。
よって、「IPアドレスを基にして」という記述は不適切です。
ウ: リピータは、同種のセグメント間で信号を増幅することによって伝送距離を延長する。
リピータ/ハブは物理層の装置です。減衰・歪みで劣化した信号を再生(リタイミング・整形)して次の区間へ送り、同一セグメント内の伝送距離を延長します。
よって、この記述は正しいです。
エ: ルータは、MACアドレスを基にしてフレームを中継する。
ルータはネットワーク層の装置で、経路選択の判断基準はIPアドレスです。ルータはIPアドレスで転送先(次ホップ)を決定します。
よって「MACアドレスを基にして」という記述は不適切です。
以上により、この問題の解答は「ウ」になります。
