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情報セキュリティマネジメント試験 令和6年度 公開問題(過去問) 問9 解説

情報セキュリティマネジメント試験 令和6年度 公開問題(過去問) 問9 について解説します。

問題

問9 システムの信頼性指標として RASIS がある。そのうちの A は可用性を表し、システムのサービス時間など、ある一定期間でのシステムの機能を維持する度合いを表している。この A を向上させるものはどれか。

ア MTBF と MTTR をともに 2 倍にする。
イ MTBF は変えず、MTTR を 2 倍にする。
ウ MTBF を 2 倍にして、MTTR は変えない。
エ MTBF を半分にして、MTTR は 2 倍にする。

解説・解答

RASISとは?
RASIS はシステム運用の指標で、下記があります。
 R: Reliability(信頼性:どれだけ壊れにくいか)
 A: Availability(可用性:必要なときにどれだけ使えるか)
 S: Serviceability(保守性:どれだけ修正しやすいか)
 I: Integrity(保全性:どれだけデータは完全か)
 S: Security(安全性:どれだけ不正を防止できるか)
この設問の A は「一定期間においてシステムが稼働している割合」を指します。

可用性の計算式
可用性 Aは、代表的に次式で表せます。

・MTBF(Mean Time Between Failures, 平均故障間隔):壊れないで動き続ける平均時間(大きいほど良い)
・MTTR(Mean Time To Repair, 平均修復時間):壊れてから復旧するまでの平均時間(小さいほど良い)
⇒ A を上げたいなら「MTBF を大きく」「MTTR を小さく」するのが原則です。

それぞれの選択肢について確認します。
MTBF = M, MTTR = R とおきます。元の可用性は次の式になります。

ア: MTBF と MTTR をともに 2 倍にする。
次の式で表すことができ、可用性は変わりません。


イ: MTBF は変えず、MTTR を 2 倍にする。
次の式で表すことができ、可用性は下がります。


ウ: MTBF を 2 倍にして、MTTR は変えない。
次の式で表すことができ、可用性は上がります。これが正解です。

(数値例)
 M=100, R=10とすると
 A₀=100/110=0.909… → A’=200/210=0.952… と上昇します。

エ: MTBF を半分にして、MTTR は 2 倍にする。
次の式で表すことができ、可用性は下がります。


以上により、この問題の解答は「ウ」になります。