ITパスポート 令和6年度 公開問題 問12 について解説します。
問題
問12 AIに関するガイドラインの一つである“人間中心のAI社会原則”に定められている七つの“AI社会原則”のうち,“イノベーションの原則”に関する記述として,最も適切なものはどれか。
ア AIの発展によって人も併せて進化するように,国際化や多様化を推進し,大学,研究機関,企業など,官民における連携と,柔軟な人材の移動を促進する。
イ AIの利用がもたらす結果については,問題の特性に応じて,AIの開発,提供,利用に携わった関係者が分担して責任を負う。
ウ サービスの提供者は,AIを利用している事実やデータの取得方法や使用方法,結果の適切性について,利用者に対する適切な説明を行う。
エ 情報弱者を生み出さないために,幼児教育や初等中等教育において,AI活用や情報リテラシーに関する教育を行う。
解説・解答
「人間中心のAI社会原則」は日本政府(内閣府のAI戦略チーム)が2019年に提唱したもので、AIを社会に導入・活用する際に守るべき基本的な価値や方向性を示した原則です。
この原則は、以下の七つのAI社会原則から構成されています。
1.人間の尊厳の原則
AIの活用は、基本的人権や人間の尊厳を尊重しなければならない。
2.多様性・包摂性の原則
誰も取り残されないよう、ジェンダー、年齢、地域などに関係なく、全ての人がAIの恩恵を受けられるようにする。
3.持続可能性の原則
AIを通じて持続可能な社会(経済・社会・環境)を目指す。
4.人間の自由・自律の原則
AIの導入によって人間の自由や選択が不当に制限されないようにする。
5.データ・AIの活用に関する公正性・説明責任・透明性の原則
データやAIの活用にあたり、説明責任や公平性、透明性が確保されるべきである。
6.イノベーションの原則
AIによるイノベーションの促進を目指し、官民連携や人材育成、国際協力を進める。
7.安全・安心の原則
AIの安全性やセキュリティの確保に努め、リスクを最小限にする。
上記を踏まえると、選択肢アの「AIの発展によって人も併せて進化するように,国際化や多様化を推進し,大学,研究機関,企業など,官民における連携と,柔軟な人材の移動を促進する。」が上記の「イノベーションの原則」に該当する記述となります。
以上により、この問題の解答は「ア」になります。