ITパスポート 令和6年度 公開問題 問14 について解説します。
問題
問14 ある商品の販売量と気温の関係が一次式で近似できるとき,予測した気温から商品の販売量を推定する手法として,適切なものはどれか。
ア 回帰分析
イ 線形計画法
ウ デルファイ法
エ パレート分析
選択肢 ア : 回帰分析
回帰分析とは、「ある変数(目的変数)が、他の変数(説明変数)によってどのように影響を受けるのか」を数式で表し、予測や関係性の理解に役立てる統計手法です。この場合は、説明変数は気温、目的変数は商品の販売量になります。
(回帰分析の例)
身長(X)と体重(Y)の関係を調べたい場合、「身長が1cm高くなると、体重は何kg増えるのか?」という関係を数式で表して分析します。
選択肢 イ : 線形計画法
線形計画法とは、いくつかの制約条件のもとで、ある目的(利益の最大化やコストの最小化など)を最適化するための、最適な資源配分などを求める数理最適化の手法です。
(具体例)
クッキーとケーキを作って売りたいパン屋さんがいるとします。
・クッキー1個作るのに小麦100g・砂糖50g必要です。
・ケーキ1個作るのに小麦150g・砂糖100g必要です。
・手元には小麦1000g、砂糖600gしかありません。
・クッキーは1個100円、ケーキは1個150円で売れます。
この場合に「小麦と砂糖をどう使えば、売上が最大になるのか?」 を求めるときに線形計画法を使います。
選択肢 ウ : デルファイ法
デルファイ法とは、専門家の意見を繰り返し集約して、将来の予測や意思決定に活用する手法です。定量的な予測というよりは、主観的・定性的な予測に使います。特徴は「匿名で何回か意見を集めて、だんだん意見を収束させる」というプロセスです。
(使われる場面のイメージ)
例えば、5年後のAIの発展について予測したいとき、
1.いろんな分野の専門家に質問(アンケート形式)
2.回答を集計・要約してフィードバック
3.再度、そのフィードバックを見た上で再回答してもらう
4.これを何度か繰り返して意見が近づいていく(収束)
選択肢 エ : パレート分析
パレート分析とは、「重要な少数(20%)が、結果の大部分(80%)を生み出している」という考え方を使って、問題や原因の優先順位を明らかにする手法です。
【パレートの法則(80:20の法則)】
売上の80%は上位20%の顧客から、クレームの80%は20%の原因から生まれる。
パレート分析ではよく「パレート図」というグラフを使います。
(パレート図の例)
件数 クレームの原因ごとの件数(多い順)
^
| █
| █ ← 1.商品の破損(45件)
| █ █
| █ █ ← 2.配送の遅延(30件)
| █ █
| █ █ █
| █ █ █ ← 3.説明と実物の違い(15件)
| █ █ █
| █ █ █ █
| █ █ █ █ ← 4.対応が冷たい(8件)
| █ █ █ █ █
| █ █ █ █ █ ← 5.注文ミス(2件)
+——————————→
1 2 3 4 5 クレームの原因の種類
このパレート図から
商品の破損:45件(45/100 = 45%)
配送の遅延:30件(30/100 = 30%)
上位2つで75%のクレームを占めていることがわかります。
解答
以上により、この問題の解答は「ア」になります。