ITパスポート 令和6年度 公開問題 問18 について解説します。
問題
問18 コーポレートガバナンスを強化した事例として,最も適切なものはどれか。
ア 女性が活躍しやすくするために労務制度を拡充した。
イ 迅速な事業展開のために,他社の事業を買収した。
ウ 独立性の高い社外取締役の人数を増やした。
エ 利益が得られにくい事業から撤退した。
解説・解答
コーポレートガバナンス(企業統治)とは、企業が持続的に成長・発展しつつ、株主やステークホルダー(利害関係者)の利益を適切に守るために、経営陣の意思決定や業務執行を監督・管理する仕組みのことを指します。
コーポレートガバナンスの主な仕組みには次のようなものがあります。
1.取締役会の設置
経営戦略の承認や経営陣の選解任を行う最高意思決定機関。
2.社外取締役/社外監査役
経営陣と利害関係の薄い外部の専門家を招き、業務執行を客観的にチェック。
3.監査役会・監査委員会
会計・業務監査を担い、不正やリスク管理の抜け漏れを防止。
4.指名・報酬委員会
取締役の選任基準や報酬水準を第三者的立場で検討・決定。
5.内部統制システム
コンプライアンス(法令遵守)や業務プロセスの標準化・文書化によるリスク管理。
6.情報開示制度
有価証券報告書、決算短信、IR(投資家向け広報)などを通じた適時・適切な情報発信。
上記を踏まえて選択肢を確認します。
ア: 労務制度の拡充(従業員の働きやすさ向上に関する人事制度の話)であり、コーポレートガバナンスとは別の話になります。
イ: 事業の買収は経営戦略や成長戦略の一環であり、コーポレートガバナンスそのものでありません。
ウ: 社外取締役の増加は、経営の監督機能を強化し、経営陣の暴走を防ぐなど、コーポレートガバナンスの強化策の代表例です。
エ: 事業撤退は経営判断の一つであり、ガバナンスの仕組みを強化したわけではありません。
以上により、この問題の解答は「ウ」になります。