ITパスポート 令和6年度 公開問題 問28 について解説します。
問題
問28 次の事例のうち、AI を導入することによって業務の作業効率が向上したものだけを全て挙げたものはどれか。
a 食品専門商社の A 社が、取引先ごとに様式が異なる手書きの請求書に記載された文字を自動で読み取ってデータ化することによって、事務作業時間を削減した。
b 繊維製造会社の B 社が、原材料を取引先に発注する定型的な PC の操作を自動化するツールを導入し、事務部門の人員を削減した。
c 損害保険会社の C 社が、自社のコールセンターへの問合せに対して、オペレーターにつなげる前に音声チャットボットでヒアリングを行うことによって、オペレーターの対応時間を短縮した。
d 物流会社の D 社が、配送荷物に電子タグを装着して出荷時に配送先を電子タグに書き込み、配送時にそれを確認することによって、誤配送を削減した。
ア a, c
イ b, c
ウ b, d
エ c, d
解説・解答
それぞれの選択肢の内容を確認します。
a の「食品専門商社の A 社が、取引先ごとに様式が異なる手書きの請求書に記載された文字を自動で読み取ってデータ化することによって、事務作業時間を削減した。」は、AI OCR(AIによる文字認識)が使用されていて、事務作業時間を削減する効果があります。
→ AIによって作業効率が向上した例です。
b の「繊維製造会社の B 社が、原材料を取引先に発注する定型的な PC の操作を自動化するツールを導入し、事務部門の人員を削減した。」は、RPA(Robotic Process Automation)が使用されています。RPAはAIと混同されがちですが、基本的にはAIではなく「ルールベースの自動化ツール」です。
→ AIによる業務効率化とは言えません。
c の「損害保険会社の C 社が、自社のコールセンターへの問合せに対して、オペレーターにつなげる前に音声チャットボットでヒアリングを行うことによって、オペレーターの対応時間を短縮した。」は、音声認識AIと自然言語処理AI(チャットボット)が使用されていて、オペレーターの対応時間の短縮(=作業効率向上)の効果があります。
→ AIによる業務効率化の好例です。
d の「物流会社の D 社が、配送荷物に電子タグを装着して出荷時に配送先を電子タグに書き込み、配送時にそれを確認することによって、誤配送を削減した。」は、電子タグ(ICタグ、RFID)が使用されています。情報の読み書きをする自動認識技術ですが、「学習」や「推論」は含まれず、AI技術ではありません。
→ AI技術を使った例ではありません。
選択肢のうち、AIによる作業効率の向上があるものは a と c になります。
以上により、この問題の解答は「ア」になります。