ITパスポート 令和6年度 公開問題(過去問) 問35 について解説します。
問題
問35 実用新案に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 今までにない製造方法は、実用新案の対象となる。
イ 自然法則を利用した技術的思想の創作で高度なものだけが、実用新案の対象となる。
ウ 新規性の審査に合格したものだけが実用新案として登録される。
エ 複数の物品を組み合わせて考案した新たな製品は、実用新案の対象となる。
解説・解答
実用新案とは「物品の形状、構造または組み合わせ」に関する考案を保護する制度です。
・対象: 物品(道具や機械など)の構造や形状の工夫
・保護対象外: 方法やソフトウェア単体などは含まれません
・審査: 方式審査のみで登録される(=特許のような新規性・進歩性などの実体審査はない)
それぞれの選択肢について確認します。
ア: 今までにない製造方法は、実用新案の対象となる。
製造方法は特許の対象になりますが、実用新案の対象ではありません。実用新案は「物品の形状、構造、またはこれらの組み合わせ」に限定されます。そのため、この記述は誤りです。
イ: 自然法則を利用した技術的思想の創作で高度なものだけが、実用新案の対象となる。
実用新案も特許と同様に「自然法則を利用した技術的思想の創作」が対象ですが、「高度なもの」である必要はありません。高度な進歩性が要求されるのは特許であり、実用新案には進歩性の要件は相対的に緩やかです。そのため、この記述は誤りです。
ウ: 新規性の審査に合格したものだけが実用新案として登録される。
実用新案は「方式審査のみ」で登録されるため、新規性の実体審査は行われません。新規性がなくても一度は登録されますが、権利行使前に実用新案技術評価書を取得して確認する必要があります。そのため、この記述は誤りです。
エ: 複数の物品を組み合わせて考案した新たな製品は、実用新案の対象となる。
実用新案では、複数の物品の組み合わせによる新しい構造や形状も保護の対象になります。そのため、この記述は正しいです。
以上により、この問題の解答は「エ」になります。