ITパスポート 令和6年度 公開問題 問37 について解説します。
問題
問37 システム開発プロジェクトを終結する時に,プロジェクト統合マネジメントで実施する活動として,最も適切なものはどれか。
ア 工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。
イ 作成した全ての成果物の一覧を確認する。
ウ 総費用の予算と実績の差異を分析する。
エ 知識や教訓を組織の資産として登録する。
解説・解答
プロジェクト統合マネジメントとは、プロジェクト全体を統合的に管理する活動のことです。個別の領域(スコープ、コスト、品質、リスクなど)をバラバラに扱うのではなく、全体のバランスを見ながらプロジェクトを成功に導く役割を果たします。
主なプロセス
フェーズ | プロセス名 | 内容 |
---|---|---|
① 立ち上げ | プロジェクト憲章の作成 | プロジェクトの正式な承認を得る |
② 計画 | プロジェクトマネジメント計画書の作成 | 全体的な進行計画を立てる(スケジュール、コスト、リスクなども含む) |
③ 実行 | プロジェクト作業の指揮・マネジメント | 計画に基づいて作業を進める。調整や変更対応もここ |
④ 監視・コントロール | 統合変更管理 | 計画との差異を把握して、必要に応じて計画を修正する |
⑤ 終結 | プロジェクトやフェーズの終結 | 成果物の確認、教訓の整理、文書化などを行う |
それぞれの選択肢について確認します。
ア 工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。
これは「スケジュールマネジメント」や「進捗管理」で行う内容です。プロジェクトの途中(実行・監視)で必要な活動であり、「終結」のタイミングではありません。
イ 作成した全ての成果物の一覧を確認する。
成果物の確認は「品質マネジメント」や「検収プロセス」で行います。終結時にも成果物の最終確認はしますが、統合マネジメントにおける主目的ではありません。
ウ 総費用の予算と実績の差異を分析する。
これは「コストマネジメント」の一部です。差異分析は実行・監視中に行い、コスト超過の原因を追跡するためのものです。
エ 知識や教訓を組織の資産として登録する。
プロジェクト統合マネジメントの「終結プロセス」で重要なのは、プロジェクトの成果や進め方を振り返り、教訓を整理し、組織の知識資産として記録・登録することです。この活動はシステム開発プロジェクトを終結する時にプロジェクト統合マネジメントで実施する活動です。
以上により、この問題の解答は「エ」になります。