ITパスポート 令和6年度 公開問題(過去問) 問59について解説します。
問題
問59 OCRの役割として、適切なものはどれか。
ア 10cm程度の近距離にある機器間で無線通信する。
イ 印刷文字や手書き文字を認識し、テキストデータに変換する。
ウ デジタル信号処理によって、人工的に音声を作り出す。
エ 利用者の指先などが触れたパネル上の位置を検出する。
解説・解答
OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)とは、紙に印刷された文字や手書き文字を画像として読み取り、デジタルの文字データ(テキスト)に変換する技術のことです。活用例として以下があります。
用途 | 説明 |
---|---|
書類のデジタル化 | 紙の契約書・帳票類をスキャンして自動的に文字を抽出 |
名刺管理 | 名刺をスマホで撮って文字をテキスト化 |
郵便番号読み取り | 郵便物の宛名やバーコードを読み取って住所に変換 |
交通違反のナンバー自動認識 | カメラ映像から車両番号をOCRで読み取り |
金融分野(手書き振込伝票など) | 金額・口座番号・名前などをOCRで自動入力 |
それぞれの選択肢について確認します。
ア:10cm程度の近距離にある機器間で無線通信する。
これはNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)の説明です。10cm程度の距離で通信する技術です。NFCは、おサイフケータイ・交通ICカード・スマートロックなどで使われる通信技術で、OCRとは無関係なので誤りです。
イ:印刷文字や手書き文字を認識し、テキストデータに変換する。
これはまさに上記のOCRの説明に該当する内容です。これが正解です。
ウ:デジタル信号処理によって、人工的に音声を作り出す。
これは音声合成(Speech Synthesis)の説明です。OCRではなく、たとえばAIによる読み上げ機能やナビゲーション音声生成に使われる技術です。テキストから音声を生成する「Text to Speech(TTS)」技術などに該当します。SiriやGoogleアシスタントなどが代表的な応用例です。OCRとは無関係なので誤りです。
エ:利用者の指先などが触れたパネル上の位置を検出する。
これはタッチパネル技術(タッチインタフェース)に関する説明です。スマートフォンやATMなどで指の位置を検出する技術です。画面の座標情報を取得し、UIとして操作を認識します。OCRとは無関係なので誤りです。
以上により、この問題の解答は「イ」になります。